そのSPA!に音楽配信メモの津田さんのCCCD記事。なんか、「返品対応を断れない中小レコード店を救うための規格移行」って感じになってしまっていて、論点がぼやけてしまっている気がするなあ。冷たい言い方ですが、再生不可率0.4%のCCCDについて、返品要求に対応出来ない経営体力のレコード店は、今後10年を考えると商売続けても不幸なことばかり起こるような気がする。
CCCDがダメメディアというのは当然同意するのですが、じゃあDVD-Audio/SACDへの移行でハッピーになれるか、というと、10年前ならともかく、CDからのリッピングという果実を知ってしまった私たちにはあまりそうとは思えないわけで。数年前ならシリコンオーディオも少数派でしたが、iPodでメジャー化もしていますし。DVD-Audio/SACDなどの新規格に移行して、実時間でMP3(ATRAC3でもAACでもいいですが)化、というのは悲しい。過去の歴史を見ても、利便性の大幅な向上のないメディアへの移行が成功した例はほとんど無いですし。逆に、HDDオーディオプレイヤの利便性というのは、移行へのモチベーションになると思う。
結局リッピングして聞くのなら圧縮フォーマットでネットワークで音楽配信でもいいわけで、CCCD→DVD-Audio/SACDの移行も良いんですが、せっかくの音楽配信メモの人の原稿なわけですから、音楽配信をこの辺で真面目に議論して欲しいし、話題として持ち出して欲しかったな、とも思う次第。
ところで、一足先に著作権原理主義に移行したデジタルテレビの世界では、B-CASカードという素晴らしい(違う)システムがあります。BSデジタルの暗号化は3層構造で、B-CASカード(実態はICカード)とチューナの間は平文が流れない仕組みになっているということらしい。だからそこのインターフェイスを観測しても何も得られない、とのこと。やる気ですね。
で、B-CASで使っているようなICカードの認証システム、PC用にもあって、USB I/F対応で数千円、PCMCIAで1万円程度とのこと。じゃあ、それ使って音楽配信したら良いんじゃないのかなあ。ダウンロード時にICカードを使用して認証、保存。再生、シリコン(HDD)オーディオへの転送はダウンロード時のICカードが無いと不可。シリコンオーディオへは転送のみ可能、そこから再転送は不可。DVD-Audio/SACD版購入者には一回限りで全曲ダウンロード可能。この辺りならiTunesのバージョンアップでも対応可能に思えてきた。
ましてや音楽業界の巨人のSONYはFelicaに燃えているわけですし、お得意のデファクトゲット手法で真面目にICカード仕様の音楽配信システムを立ち上げてくれたら良いのに。でもまあ、この路線だと、中小レコード店は救われないわけですが…。