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akarik日々メモ

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2006-06-18

[読書] 魚住昭「野中広務 差別と権力」(講談社文庫)

単行本で出た時から興味がありましたが、買うまでにはいたらず。文庫化されたので買ってみました。一時は総裁候補になるかならないか、まで行った野中広務ですが、最終的に(政権の目的が田中派支配からの決別であった)小泉純一郎との権力闘争に敗れ、かなり悲惨な形で政界から去ることになりました。その野中広務の評伝です。

とにかく面白かった。私は基本的に電車でしか本を読まないのですが、珍しく家でもページをめくって、あっという間に読んでしまいました。政治家の評伝は(本人が書いた物でなければ)大抵面白い物ですが、野中広務という強烈な個性と、権謀術数の巧みさから、引きつけられてしまいます。公明党の出版物の池田大作の写真の背景に飾られている画を全て調査し、資産リストと付き合わせて揺さぶりをかけるエピソードなど、これぞ駆け引き、といった感じで。

この本の一本筋として、語られることのない彼の出自にスポットを当てた部分もあります。いわゆる「被差別部落」出身から、その政治家としてのポテンシャルの高さを十二分に発揮し、あれだけの権力を握ることになった、その原動力とは…。でもまあ、そこ以外でも読みどころはたくさん。政治の駆け引きに興味のある人は是非。

[読書] 鈴木博之「東京の地霊(ゲニウス・ロキ)」(文春文庫)

以前、日本の<地霊>は書きましたが、その前著となる東京版。ということで、内容自体は大きく変わらず。でも、どちらかというと建築の話より、土地の因縁話の方が多いかな。護国寺・上野公園・新宿御苑・本郷などの、主に明治以降の話が色々掲載されています。変わらず面白かったです。というか、この本で評価を受けての「日本の地霊」なので、面白いのは当然なのですが。

私には抜きがたい東京への憧れがあるので、こういう本を読むと東京への思いが更に募りますね。この本に書かれた部分を色々回ってみたいな、と思ったり。でも、上京する時は他の用事が多いので、どうも見て回れないんだよな。一回これのために上京してみるか。

[読書] 梅田望夫「ウェブ進化論―本当の大変化はこれから始まる」(ちくま新書)

まあ、話題の本なので。流行のweb2.0的な、ロングテールとか、あの辺の話をgoogle主体で書いた物。中で使われている「情報発電所」とか言う、中途半端に一般層を狙ったような語が少し気持ち悪かった。その割に、書いてある内容は「ある年齢層以上はこの凄さが分かってくれない」とかあきらめモードになっているし。

全体に、手堅くまとまっているんだけど、これを読んだどの層にも強く響く物はないような気がします。報謝する熱量が強くなくて、ふーん、で終わってしまうような。といいつつ、これを読んでgoogle adsenseを申し込んだ私ですが…。

[読書] 野口悠紀雄「『超』文章法」(中公新書)

大分前に買った本だけど、通しで読んでいなかったので改めて読んでみた。「文章法」というタイトルだけど、「日本語の作文技術」的な本より、もう少し上の階層の、構成術とかがメイン。その辺のレイヤーのテクニックをまとめた本は読んだことなかったので、参考にはなりました。でも、手元に置いて見直すと言うより、一読で十分といった感じかな。

[読書] 小笠原泰「なんとなく、日本人」(PHP新書)

書店で斜め読みした限り、書かれている日本人論が好感が持てたので買ってみましたが、この著者は新書向きではないような気がするなー。自分の思いつきを、大量に詰め込んでいてあまりチェックがないので、言いっぱなしに見える。新書なら、もう少し主張を刈り込んで、それに対する実例を多めに載せていった方が良いと思うんだけど。

全体的に、筆者の考えに賛同出来ない部分が少しでも出てくると、それ以降読むのが苦痛になります。文章の説得力に欠け、勝手にべらべら喋っている評論家の言を延々聞かされているような気分になってきて。「国家の品格」のような日本人論ブームに乗って出した本のように見えて、そうではなかった。「国家の品格」の方がヨタ話が含まれている分、筆者の立ち位置が伝わってきて良いんじゃないか?あんまりおすすめではないです。

[読書] 山根節「経営の大局をつかむ会計」(光文社新書)

知り合いが勧めていたので購入。大局をつかむ、というキャッチがふさわしく、確かに大まかに理解するには適した本だった。これから読み進めていく上でのスタートポイントとして、親しみやすく、分かりやすい。内容が時事的すぎて、すぐ絶版になりそうな気もしますが…。若干中身が薄く感じるかも知れないけど、その辺は別の本で補え、ということでしょう。

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